——まず定番の質問ですが、あんこさんが緊縛にハマったきっかけって何だったんですか?
「歌舞伎の『勧進帳』ですね」
——まさかの歌舞伎⁉
「中学校の、音楽の授業で見たんです!」
「『えっ⁉こんなエッチなの学校で流していいの!?』って周り見たらみんな寝てて、これが特殊性癖かと(笑)」
——何が刺さったんですか?
「美男子で亡国の王子の義経様が縄で縛られてるんです。
でもそれだけじゃなくて、縛らされた部下の弁慶は、彼のことをめちゃくちゃ尊敬してるんですよ!!
忍たまなら雑渡さんを尊敬するタソガレドキ忍軍みたいに!」
——尊敬する上司!
「なのに弁慶は、その義経本人から『私を打て』って言われるんです。変装が役人にばれちゃうから!」
——あ~~!それはやばい!!
「そう!部下が怒られるのはよくあるじゃないですか。
でも上司が捕まっちゃって、尊敬する美男子の上司を!自分が!棒で打たなきゃいけないんですよ⁉
葛藤する弁慶さんがそれはもう……エッチで!その倒錯がめちゃくちゃ刺さっちゃって!」
——なるほど!それは癖歪みますね!
「そこからですね~あらゆる漫画や小説を読むたびに、緊縛とかSM、Dom/Sub(ドムサブ)要素に注目し始めちゃって!
創作してきたどのジャンルでも、最終的にスケベで書いてるのが緊縛っていう、一生初夜書いちゃう人みたいなノリで書いてます(笑)」
——変わらぬ癖ですね!!
「そう、定食の味(笑)」
「読む方も、商業も同人もめっちゃ探して、イベント会場なんてハマったジャンルの全てのカプから探していて、
『え⁉この組み合わせでどうやって緊縛に持ち込むの⁉
やだ読みたい!!』って感じでもりもり買って読んでます。」
——めっちゃ好きですねw
「めっちゃ好き!この組み合わせで縛った後どんな展開が起きるの⁉ってドキドキするんです。」
——わかります!
「性行為そのものではないけれど、縛るって相手の自由を奪う行為だから、なぜそれを許したの?って所に物語がある。
アメリカだと暴力行為の分類らしいですよ、拘束。」
「手錠も目隠しも、相手の自由を奪う行為は全部、暴力に分類されるそうで。
日本だとドンキでファー付きの手錠売ってるので、軽いプレイの分類になってますがw」
——そんな行為だからこそ関係性に注目ですね
「縄が一本増えることで、この二人どうなっちゃうの⁉ ってドラマが見たいんです!」
——『縄というお題』ですよね。
「そうですそうです!」
「縄というお題に対してどんな大喜利するかが読みたい。」
——ああ、なるほど。
「攻めが受けを縛るのか/受けが攻めを縛るのか
「上司を縛るのか/部下を縛るのか」
「縛ったあとどうなるのか、全部見たいんですよ!!」
——イベントで本を買う時もそんな感じなんですか?
「ジャンルカニ歩きの性癖絨毯で探してます(笑)」
——忍者の話もされてましたよね。
「忍者はもう縛られてナンボですよ!!」
——(笑)
「だって捕まるじゃないですか!」
「情報吐けって言われるじゃないですか!」
「拷問されるじゃないですか!」
「ありがてぇ忍者!!」
——わかる(笑)。
「だから忍者と緊縛ってめちゃくちゃ相性いいんです」
「失敗したら縄が待ってるんですから」
——任務と捕縛が隣り合わせですもんね。
「そうなんです!」
「私好きなゲームにメタルギアってシリーズがあって、現代の傭兵が忍者みたいに潜入するんですけど、必ず途中で敵に捕まって全裸で拷問されるシーンがあるのw」
——AVのシチュでくノ一がされる鉄板!
「そうそうそう!男でやってもいいと思うんですよ!!」
——わかります!あんこさんずっと男の緊縛見たいと言ってますもんね!
「そうなの!
「女性メインのはあっても男性メインのがない!」
——「女体が縄に映えるのはわかるけど!」
「わかるけど!私の性対象が男体だから美男子が良い!!」
——(笑)やはり(縛る側に)主導権を渡すっていうのが男同士だと魅力的ですよね
「男同士は縛られて下さるの意味が女性と違って好き。」
「雄としてのプライドを譲って下さるの。」
——本来両方とも雄として攻める側なのに、ただでさえ受けは受けをしてくれていますもんね!
「それ!『BL』だからこそ出る緊縛の味わいの秘訣!」
——あんこさんは受けが攻めを縛る話も好きっておっしゃってましたよね。
「好きです!!!!」
——即答(笑)。
「だってレアなんですもん!!SSRです!!!!」
——SSR。
「攻めが受けを縛る作品はかなりあるんですよ。」
「でも受けが攻めを縛る作品ってなかなかない!!」
——それもいいですよね!!ちなみに私は、
めっちゃ強い年上受けが年下美形攻めに『私のことを縛ってもいいよ』って言うシチュが好きなんですよ。
「あ――――――好き!!!!」
「縛ったはいいけど『どうしよう……』ってなっちゃう年下攻めとか最高じゃないですか」
——わかるううう!!
受けが『攻めて良いよ』って許可を出してるんです!!なのにさらに『縛ってもいいよ』って許してくれる!!そこに年上受けの器の大きさを感じるんですよね!!
「それな!!そしてどこまでも受け入れた結果、攻めが『どうしよう』ってなっているのを年上受けが縛られている状態でにっこり愛でているのがいい!」
——私の場合は、その優越感ももちろんあるのですが、優越感以外にも、年上が年下を許容してあげるということが一番美味しいと思います。
「甘やかしの極致!!受止める愛!!もっとやって欲しい!!」
——逆転の美学がありますよね。
「ありますあります!!」
「私、多分そこなんですよ。」
「正常なものが崩れる瞬間が好き。」
——あ――!!
「尊敬する上司が縛られる」
「攻めが縛られる」
「年上が年下に主導権を委ねる」
「本来こうじゃないはずのものが崩れる瞬間が好き。」
——全部『勧進帳』に帰ってくる。
「そうなんです!!だからずっと変わってない(笑)」
——お話聞いてると、『普通』から外れる話にも繋がってる気がします。
「ですね。常識、普通という枠組みから外れる、崩れる瞬間の機微っていうのかな……カタルシスの一種?」
「本来こうでなければならないっていう、常識が崩れる瞬間が、すごくワクワクするんですよね。」
「『伝子さん』にもそれを結構感じていて。」
「普通はあの厳格な教師が女装なんてしないし、さらに似合っていないけど、本人は楽しい。普通じゃない。」
——私も伝子さんだいっっすきです!
「やった大好き!伝子さんを見ていると、普通ならおかしい事をやってもいいんだなって感じるんです。」
「世間一般の普通から外れていることが許容される安心感というか、自分の好きを大切にして良いとか、自分を世間に合わせなくていいと言うか、世界が広がる感じがする。」
——なるほど
「女子は青なんか選ばないみたいな偏見から外れたい」
「普通じゃなくていいという許しを得たいのかもしれないですね。根源的には。」
——普通縛ったりはしないですもんね
「うん、縛らない。だから緊縛もそうでなんですよ」
「縛られてる時の方が自由って言うじゃないですか。」
「こういう普通じゃないことをしていいって許し。受け入れられている状態。そういう意味の自由があると思う。」
「前に吊ってもらったことがあるんですけど、自分じゃ怖くて行けないところに連れて行ってもらえる感じがあったんですよね。体重移動で傾きを変えて、どこまでいけるか探ってたんですけど、90度から先が恐い恐い!
でも縛ってる側は全体が見えてるから『大丈夫だよ』って逆吊りに、行きたい方に導いてくれる。委ねられる」
——研究熱心ですね!
「心のネタ帳潤したいから何でも知りたいし、ウッカリ研究しちゃうし、身体で覚えたいので、日々探検です♪」
——あんこさんはSですか?
「うーん。どうされちゃいたいかっていうMの気持ちがわからないと、Sも責められないじゃないですか?」
——確かに。
「こうされてしまったらどうしようという期待と妄想を、安全な範囲で叶えるのが『S』だと思うんですよね。」
「一方的に暴力を振るうのはコミュニケーションを拒絶していて、性行為の延長にあるSというより『バイオレンス?』暴力的な欲を満たしてて少し違う。多分別の欲。」
「あれだ、サービスの『S』が私の『S』だと思います!」
——大事ですね!
「超大事!だからSとMどっちの可能性もある!」
「(BLにおいても)右だ左だと固定しないのも、そこから来ているかもしれません。どちらの気持ちもわかる。」
——ほう
「カップリング本で語ってしまい恐縮ですが……
私が一番おいしいと思うBLは 同軸リバなんですよ」
——あぎゃ――ー!!(左右固定派の主催爆死w)
「なぜかというと、一番自由なBLだから!!」
「一番望んでいるシチュは、お互いに攻める気満々で来た結果、二人とも尻の準備をしていなかったために何もできなかったという夜があってて欲しいんです!!お互いに相手に惚れ直して、抱く気マンマンだったのに気が合いすぎて準備してないから何もできない。逆に二人とも抱かれる気マンマンすぎた結果、いまいち決め手に欠けるセックスになってしまい、二人とも満足できないまま朝になるのもいい!(興奮気味オタク早口)
せっかくBLという普通から一歩外れた、男同士の恋愛を書いているんだから、もっと自由であってもいいじゃないかと思うんですよね!!二歩三歩と進んでほしい!!」
——うっ…(腹を抑える)
「一番自由なBLは同軸リバ!!」
「もっと普通から外れていい。」
「もっと常識はずれな自由なことやろうぜ!」
「紙の上なら本体はノーダメージ!!」
——はいっ……!
「本当に、真に自由な創作が見たいです。」
——それはそう!!
「緊縛から話が逸れますが、私は『同人』や『二次創作』自体がすごく好きで、愛している。」
「好きだ~~って叫びの塊なのが好き。」
「だから、この二人が緊縛する関係になったらどうなっちゃうのか、いろんなパターンで見たいんです。」
「組合せも、どっちが縛るのかもサッカーの試合表みたいに、総当たりで全部の組み合わせが見たい(笑)」
——なるほど⁉リーグ戦⁉
「さらに総当たり表に作者の違いを加えると無限大で!あの作風の作家がこのキャラとあのキャラで書くとどうなるかの総当たりをとても見たい!」
——ではこの流れで緊縛アンソロジーに参加される皆様へメッセージを!
「だから本当に自由に書いてください!」
「私は自由な創作の向こう側が見たい。」
「その根本の上で、緊縛が見たい!!」
「皆さんの作品、めちゃくちゃ楽しみにしています!!」
「もう皆さん、本当に自由に書いてくれると私はとても、とても嬉しいので、よろしくお願いします!!」
——ありがとうございました!!
編集後記
今回のアンソロジー発足に多大なる影響を与えてくださったのが、萩あんこさんです!
萩あんこさんの持つ、古き良きオタクの熱量と勢いにめちゃくちゃ背中を押され、
「よし、やろう!」
と飛び出した結果がこのアンソロジーです。
「紙の上では自由!」
「私は自由な創作が見たいんです」
「その根本の上で、緊縛が見たい!!」
めちゃくちゃ印象に残りました。
本当にその通りです。
今回は様々な事情もあり「利土井」という固定カップリングでお願いしてしまいましたが、普段は色々なカップリングで活動されている方も、このアンソロジーを通して楽しく創作してくださったら嬉しいです。緊縛で結ばれる(縛られる?)利土井の輪が、この本をきっかけに少しでも広がったら幸いです。
萩あんこさん、ありがとうございました!
萩あんこ(はぎあんこ)
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